第72回粒々塾講義録

第72回は「現在を考える」〜自由を生き抜く〜がテーマ。
長らく産休でお休みしていたSMさんも久しぶりに出席してくれて、活気のある例会になりました。

今日のテーマを考えるにあたり、冒頭、塾長から「真理がわれわれを自由にする」という言葉が紹介された。これは、国立国会図書館東京本館の目録ホールに、日本国憲法制定時の憲法担当国務大臣でもあった初代館長金森徳次郎の筆跡で刻まれている言葉です。
この言葉は、国立国会図書館法の前文「国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。」の一部で、国立国会図書館の設立理念ともいうべきものです。

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国立国会図書館法案が議決された昭和23年2月4日の衆・参両議院本会議での説明を見ると、「国立国会図書館は、知識の泉、立法のブレーンになる。あらゆる材料をここに集め…文化の促進をはかり、産業の高揚をはかる仕組である」(中村嘉寿衆議院図書館運営委員長)、「従来の政治が真理に基づかなかった結果悲惨な状況に至った。日本国憲法の下で国会が国民の安全と幸福のため任務を果たしていくためには調査機関を完備しなければならない」(羽仁五郎参議院図書館運営委員長)という趣旨のことが述べられています。
むろん、民主主義は、ひとり国会議員が情報を持つことにより実現するわけではありません。国民が情報を持つこともまた民主主義の不可欠の要素です。このため、国立国会図書館は、「真理がわれらを自由にする」の理念の下、国会に奉仕するとともに、国民の情報ニーズにも応える機関として位置づけられています。
国立国会図書館ホームページから抜粋)

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上記は国立国会図書館のHPの一部ですが、戦後の日本の礎を築こうと尽力した人々の思いが伝わってくるように感じます。そんな切り口から現在を考えてみるとどんなことが見えてくるのか、今回の塾のテーマだと感じました。

次に講義は、サブタイトルの〜自由を生き抜く〜。ということに進みます。

以前の塾で紹介された2011年3月東日本大震災があった年の立教新座高校を卒業する生徒に校長先生の祝辞で語られた。

海をみる自由」「立ち止まる自由」。
そこで校長先生が伝えようとした自由の意味。そして現代の状況は???
伝わりくる世相からは侵される自由や息苦しさが蔓延していないか。

以前、塾生が塾長に投げかけた疑問。
自由の反対は何かと。

塾長は自由の反対は「空気」と「社会」なのではないかと言う。

震災直後の9月の塾では山本七平の「空気の研究」という本を材料に、「個々人の価値観の確立」「ぶれない人生観の確立」を考えたが、それを振り返りながら再度「空気」ということを考えてみる。

・空気とは誠に絶対権をもった妖怪である。一種の超能力かも知れない。
・それは非常に強固でほぼ絶対的な支配力をもつ「判断の基準」であり、それに抵抗するものを異端として「抗空気罪」で社会的に葬るほどの力を持つ超能力であることは明らかである。

空気の研究は昭和52年に書かれた本であるが、現代の状況を予見しているように映る。
歴史を知るということは現在を確認するということではないかということに、そのとおりだと思った。

最後に、今後も大きく変化していく世界と日本において必要な能力や知性とは何かを考えます。
対多様性があること。意志の自由を持つこと。選択できることが自由だと考える塾生。
当たり前を深めることが知性などの意見が飛び交います。塾生のみなさんの熱と感性が伝わってきました。

最後に「自由を生き抜く」とは、その個々の価値観を大切にすることではないかとまとめられた。何度も塾長から出ている「価値観」というキーワードを改めて塾生の皆さんと議論し確認できた。

これまでに、多様なテーマで72回の講義が開かれました。
「言葉と文化」「空気の研究」「メディアの力」「東北学」「民主主義を考える」etc…
これらのテーマを通じて豊かな未来を希求していくために学ばなければならない一本の軸が私の中でつながった。
(Mocch 記)