第43回粒々塾講義録

「東北学その12〜東北発、日本〜」


*「3・11」を抜きにして、過去も現在も未来も語れない。
体験できた我々は、大変ありがたい。

* 「明治維新」とは何だったのか。
幕末、ペリーの来航。開国要求。幕府は開国に応じる。鎖国ではこの国は立ちゆかなく
なっていた。開国。西洋化、西洋文明の吸収。

そして出来上がった明治政府。それも西洋の政治形態、統治形態を。官僚による
統治機構

八重の桜  戊辰戦争で薩摩・長州はなぜ勝利したか 
      → 西洋の武器を大量に有する藩が勝利した。

藩という小さな山があり、頂点に殿様が立つことで成り立っていたが、その小さな山を
1つの大きな山にまとめ国を造っていこう。

政府を頂点にした「山」を造る。それが最大の狙い。

東京1極、もしくは大阪・名古屋の3極集中になった。

産業も農業中心から、工業生産が主体になり、各地方独自の文化や言葉も全国標準に
なった。

画一化することで国を統治。

明治5年8月3日。「学事奨励に関する被仰出書」。太政官布告
「学問は身を立てるの財本とゆうべきものにして、人たるもの誰が学ばずして
可ならんや。邑に不学の戸なく、家に不学の人なかしめんことを期す」

「全国一律教育」が大きな基軸
統一様式の学校を造った。師範学校を造り、教育を統一した。制服を作った。


明治6年  東京師範学校 東北師範学校 
明治7年  東京帝国大学
明治19年 検定教科書
明治37年 国定教科書
明治55年 国語調査会 5年かけて全国の方言地図を作り、言葉の統一に着手した。
            その為に役立ったのが教科書。

大正14年に放送を開始したラジオ。

標準語という言葉が出来上がった。東北には方言が生き残っていた。

政治の力で、言葉は変えられない。


* 安積開拓を知って見えてきたもの。中央と地方。東北と中央。明治維新時と同じ構図。
中央集権の構図。官僚支配の構図。

かつて不毛の原野だった一帯がその姿を変えた。
水は電気を作った。その電気を使って産業が振興。製糸工場、今の日東紡の前身も。
蔵場町には、郡山電気会社というのもあった。


宮本百合子、貧しき人々の群れ。中条政恒の孫。長男精一郎の長女。宮本賢治と結婚。




今回は講義の後、各塾生より1年の締めくくりとして、「意見」を述べてもらうとのことでした。


東北学を通じて何を学んだか
何を考えていけばいいのか
何をどう発信していけばいいのか



長井さん
東北学が学べて幸せ。いろんな事を学び、知らないと、判断を誤ってしまう。
先人たちが考え、戦ってきた。間違っていることは間違っていると発信したい。
次の世代にも伝えていきたい。

山川氏
知らない事は、「罪」であると感じている。受身の楽観主義は自分にもあった。
歴史を知るという事は、ルーツ等を知るきっかけとなった。
自分が勉強した事を、子供たちに伝えていきたい。

野地氏
想像力が大事である。先人たちの教えを創造力を働かせて、受け継ぐことも大事。
発信するという事は、自分のフィールドで各自発信していく事が大事。

小林氏
学んでいたものが、今の世の中で簡単に発信する事が多い。
行政の仕組みもいろんな背景があって行われている。
常に疑問を持ち続けたい。学ぶ楽しさを周りにも伝えたい。

陽子さん
発信をしたい事は、「今は未来になる」という事。
考え・生活等が歴史・文学を作ってきた。
河井 寛次郎
「過去が咲いている今、未来のつぼみでいっぱいの今」
今は種を蒔くことしかできないが、未来の人達が収穫できる様になればいい。

五月さん
歴史は暗記するものでなく、自分でつかみとるもの
発信は学んで知って考えてを繰り返すことである。

菊池氏
歴史をもっと知りたい、学びたいと考える様になってきた。
地方が活性化すれば、中央を変える事はできるのではないだろうか。



渡邉氏
仕事上、地域のコミュニティ、歴史を知ることは大事。
学ぶ事によって、行動していく上での判断を間違えないようにしたい。

高橋氏
震災後、家族とのふれあいのむずかしさがあった
仕事上、塾で学んだ事を他の地域に持ち帰る事ができる。
子供達にも、地元の歴史を教えていきたい。

彩子さん
富岡町の人口減少に危惧している。
ある高校の元先生は、語り部事業を始めた。
自分のつらい経験を話すと、自分達の復興につながる。

くみえさん
歴史をもっと知りたいと思った。
東北学は、「3・11」があって始まったが、だんだん気持ちが薄れている様な気が
する。
職場では、いまの現状を自分達ができる範囲で伝えている。

宮川氏
東北学で学んだ事は
1 我慢、忍耐、貧しい暮らし    汚れ物を引き受ける精神
2 東京(中央)の物は間違いない  思想・背景を講義で学んだ
3 復興              対話をし、流されないことが大事
発信とは新種の気風をもって、学ぶ、考える、行動する。

及川さん
東北学はむずかしい。今迄は受身で無関心だった。

石塚
みちのく 軍隊・租税を運ぶ道があり、つきた奥に広がる辺境の未開の土地。
被災地の将来を危惧する。現状をしり、明るい未来の為、どう発信していけばいいのか?
自分自身まだまだ、勉強、考える事が足りない。


望月事務局長
学びの場は少ないので、塾の意義は大きい。
回を重ねるにつれ、みなさんのしっかりとした意見も出てきた。
一生懸命考えて得た物を継続していく事が大事。
会社の活動を通じて、人づくりをやっていきたい。
来年も各自刺激を受けながら、塾に参加したい。

参加塾生全員からの発表は初めてでした。
皆さんそれぞれの考えを持ち、塾に参加している事が確認できたと思います。
今年、1年ありがとうございました。
来年も塾長、講義よろしくお願い致します。
みなさんにとって良い年でありますように!
(石塚弘樹記)